手術後は、抗がん剤の副作用や再発・転移のリスクとじっくり付き合っていきましょう。


がん細胞を取り除いても、がんの再発や転移のリスクは無くなりません。前述のとおり、乳がんの発見10年後の生存率は他のがんと比べて高くなっていますが、それも手術後の治療や検診を欠かさず行なってこその数字です。治療や検診を続けながら、仕事や家事、趣味、出産など普通の生活を送ることも十分可能です。
今では、副作用や体型の変化に悩む乳がん患者(元患者)さんのための、さまざまなサービスも提供されるようになりました。積極的に利用してみるのも1つの方法です。

手術後について

手術後の検査とその頻度

検査項目 推奨頻度
問診、触診 手術後1~3年目…3~6カ月ごと手術後4~5年目…6~12カ月ごと手術後6年目以降…年1回
マンモグラフィ検診 年1回
血液検査や各種画像検査 問診や検診、セルフチェック等で何か気になる症状があった場合、必要に応じて随時

上記は、手術後(退院後)の問診や検査の頻度の一例です。手術時の状態や手術後の経過、手術で切除したがんの病理診断の結果などによっては、放射線や抗がん剤等による治療を続けたり、再手術したりすることもあります。また、体調の回復具合や治療による副作用の程度などによっても治療内容は違ってきます。手術後、もっとも考慮しなければいけないのは、手術したすぐそばや反対側の乳房でのがんの再発です。これらを早期に発見するためにも、年1回のマンモグラフィ検診と定期的な問診、視触診は必ず受けるようにしましょう。

乳房再建手術について

女性達と医者

前述の手術(乳房温存手術を除く)によって失われた乳房は、手術の数ヶ月後や数年後、形成外科手術によって再建させることができます(治療と再建の手術を同時に行なうこともあります)。乳頭を形成することも可能ですし、手術の内容や病院にもよりますが保険が適用できる場合も多くなっています。この再建手術によって、温泉や銭湯に行きづらくなったり、左右のバランスが崩れて肩こりの原因になったり、バランスをとるためのパットがわずらわしかったりという悩みを改善することができます。希望する場合は、まず担当医にその旨を伝え、事前にしっかり相談するようにしましょう。

手術後の生活や療養についてのQ&A

Q.手術後の生活に制限はありますか?

A  医師からとくに指示がなければ何も制限はありません。体調や体力の回復に合わせて、無理せず少しずつ、今までどおりの生活を取り戻していってください。

Q.食事制限はありますか?

A  いいえ。食事制限はありません。バランスを考えた食事を、おいしく食べてください。ただし、抗がん剤の副作用等で吐き気や食欲の減退等がある場合は、あらかじめ処方された薬を飲んだり、何回かに分けて食べたり、無理せずできる範囲で食べるようにしましょう。

仕事は続けられますか?

A  がんと診断されたら、まずは会社と相談してください。多くの場合、手術後も通院による治療は続きますし、体調がすぐれないことも少なくはないでしょう。そうしたことについて理解が得られるなら、続けるか辞めるかについては手術後、薬物治療や放射線治療の有無や予定がわかってから考えてみてください。

Q.子どもは産めますか?

A  はい。出産は可能です。妊娠や出産、授乳によって、乳がんが再発する危険性が高まるということもありませんし、治療後であるからと言って赤ちゃんに特別な影響があるわけでもありません。
ただし、妊娠中の抗がん剤やホルモン剤はおなかの中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす恐れがあるので、治療中は避妊するようにしましょう。また、抗がん剤の中には卵巣機能に影響を及ぼすものがありますので、治療後に妊娠・出産を希望している旨を事前に担当医師に伝えておきましょう。

Q.治療中、運動はできますか?

A  はい。ただし、手術直後は体力が落ちていますので、体力の回復に合わせて少しずつ運動量を増やすようにしましょう。家事も腕や肩の良い運動になりますし、リハビリとして最適です。また、腋の下のリンパ節の切除を行なった場合は、施術側の腕に強い負荷がかかると浮腫が発症することがあります。あらかじめ担当医に相談してください。

乳がん患者さん、元患者さん向けのサービス

東京タワーや東京スカイツリー、清水寺のライトアップなどによって、近年一気に知名度が上がったピンクリボン運動に代表されるように、社会の乳がんや乳がん患者、そして早期発見や定期検診の大切さについての理解は急速に進んでいます。そしてそれは、美容やファッション、旅行(温泉)などのサービスについても言えます。
たとえば、乳がん患者さんや元患者さんに寄り添う、以下のようなサービス、施設があります。

4つのサービス

これらは何も東京や大阪などの都市圏や有名な温泉地だけに限ったものではありません。あなたのお住まいの地域にもあるかもしれませんし、Web上で公開された情報やネット通販等、地域を問わずに利用できるサービスもあります。乳がんにかかったとしても、いっしょに闘ってくれる味方は日本中にたくさんいます。ぜひ、ネットでいろいろ検索してみてください。